トップ実装編

PRACTICE03 / 04

振り返ってマイルールを育てる

更新日:2026-08-10

この記事を読むタイミング

この記事は、日次の記録が1ヶ月分ほど溜まってから読む手順になる。

まだ溜まっていない場合、ここを読んでも実行できない。数日分の記録から共通点を出そうとしても、それが傾向なのか偶然なのか判断できないからだ。

その場合は「最初の1ヶ月を過ごす」に戻って、記録を溜める期間を続けることになる。


この手順のゴール

この手順を終えると、次の状態になる。

  • 自分が崩れやすい条件が、言葉になっている
  • それに対する対策を、仮説として1つ試している
  • 試して効いたものだけが、マイルールとして残っている

1回でルールが何個もできるわけではない。1ヶ月にルールが1つ増えれば十分になる。


前提

  • 日次の記録が1ヶ月分ほど溜まっている
  • 週次・月次の振り返りをやる時間が確保してある(休日の午前など)
  • 背景の考え方は知識編にある(→ 振り返り設計.md)

手順の全体像

5つのステップを踏む。最初の2つで「自分の条件を見つける」、後の3つで「それをルールに変える」ことになる。

ステップやること
STEP1記録を並べて、事実を拾い出す
STEP2拾った事実から、共通点を探す
STEP3共通点に対する対策を、仮説として1つ立てる
STEP4実際に試して、検証する
STEP5効いたものだけをマイルールにする

STEP1:記録を並べて、事実を拾い出す

1ヶ月分の日次記録を並べて、次の5つの観点で該当する事実を書き出す。日付をつけて、箇条書きで並べるだけでいい。

#観点拾う内容の例
1崩れたタイミング7/10(夜)、7/11(16時〜)
2崩れた直前の行動・状況電話の後、難しい作業で疲れた後、残業明け
3何に負けたか(逃避先)動画、SNS、ゲーム
4戻れた/戻れなかったきっかけカフェに行けた日は戻れた、家にいた日は戻れなかった
5うまくいった日の条件退勤後そのままカフェ、15時にネット断ち

この段階では、解釈をしない。 「つまり自分は夜に弱い」といったまとめは、まだ書かない。事実を日付つきで並べるところで止める。

分けている理由は、解釈を先に入れると、その解釈に合う事実だけを拾ってしまうからだ。「自分は意志が弱い」という前提で見ると、崩れた日ばかりが目に入り、できた日の条件を拾い落とす。

だから、まず事実を全部並べる。5番目の「うまくいった日の条件」を必ず拾うのが、ここでの要点になる。崩れた日しか並べないと、後で「何が効いたのか」を出せなくなる。


STEP2:拾った事実から、共通点を探す

並べた事実を横断して、次の2つを出す。

  • 成功要因 — どういうことをしたら、うまくいったか
  • 失敗条件 — どういう条件が揃うと、崩れやすかったか

具体例で見ると分かりやすい。次のような記録が並んだとする。

日付事実条件
5/8(水)22時にSNSを1時間見た。教材は開かず就寝残業で帰宅が21時。夕食後そのままソファ
5/15(水)21時半から動画を2時間見た残業明け。疲れて「今日はいいや」と思った
5/18(土)昼まで何もせず過ごしたが、15時にカフェへ移動して2時間作業した家を出てカフェへ移動した
5/22(水)退勤後そのままカフェへ寄り、1時間作業して帰宅した残業明けだったが、家に帰らず直行した

ここから出せるのは、次の2つになる。

  • 成功要因:作業できた2日(5/18・5/22)は、どちらも家以外の場所にいた
  • 失敗条件:「残業で疲れた日の帰宅後、家のソファ」で崩れている(5/8・5/15)

注目したいのは、疲労そのものではなく「疲れた状態で家に着く」という場面で崩れている点になる。5/22も残業明けだが、家に帰らなかった日は崩れていない。

このくらいまで絞れると、打つ手が具体的になる。「夜更かししない」のような一般論ではなく、自分の記録に出てきた条件に対する手になる。

月次では、同じことを複数週にまたいでやる。範囲が広がるぶん、曜日・時間帯・直前の出来事といった細かい単位まで下ろせる。上の例なら「水曜(残業日)に集中している」まで見えてくる。

共通点が見えないとき

1ヶ月でも見えないことはある。その場合、無理にひねり出さない。

無理に出した共通点は根拠が薄く、そこから作ったルールは自分に合わないので守れない。もう1ヶ月記録を続けて、範囲を広げてから見るほうが確度が上がる。


STEP3:共通点に対する対策を、仮説として1つ立てる

共通点が見えたら、それに対する対策を考える。ただし、ここで出したものをマイルールにはしない。

まず「仮説」として立てて、状態をつける。

  • [未検証] — まだ試していない
  • [検証中] — いま試している
  • [採用] — 試してうまくいった
  • [不採用] — 試したが効かなかった

上の例なら、こうなる。

残業で疲れた日は、家に帰らずカフェに寄ってから帰る(未検証)

仮説を1つに絞るのは、複数を同時に試すと、どれが効いたのか分からなくなるからだ。ここで絞るのは試す数であって、後で採用する数ではない。


STEP4:実際に試して、検証する

立てた仮説を[検証中]にして、実際の生活で試す。

検証には日をまたいだ期間がいる。上の例なら、次の数週間、残業日に実際にカフェへ寄ってみて、その結果をまた日次の記録に残していく。

次の週次・月次の振り返りで、「前回試した仮説はどうだったか」を見返す。

結果状態
崩れが減った・戻りやすくなった[採用]
特に変わらなかった・そもそも守れなかった[不採用]

[不採用]が出るのは正常になる。 効かなかったと分かったこと自体が収穫なので、無理に残さず消していい。


STEP5:効いたものだけをマイルールにする

[採用]になったものだけを、自分のルール集に書き写す。

個数の上限は決めなくていい。効いたものが複数あるなら、複数入れて構わない。

ただし、守るのは「試して効いた」ものだけにする。良さそうというだけで増やしていくと、全部を守れなくなって運用自体が崩れる。検証を通っていないルールを混ぜないことが、数の歯止めになる。


仮決めを上書きする

ここまでで、準備の段階で仮に決めた設定を見直す材料が揃う。

最初に決めた3つは、あくまで仮設定だった。1ヶ月走らせた記録があるので、ここで実態に合わせて直す。

仮決めしたもの見直す観点
目標・日々の行動続いているか。重すぎて手をつけられない日が多くないか
スマホの運用決めた時間に断てているか。断てない日はどんな日か
振り返りの運用決めた時間にできているか。10分で終わっているか

たとえば、休日の午前に週次をやると決めたのに毎回できていないなら、時間帯そのものが自分に合っていない可能性がある。守れないルールを守れない自分の問題にせず、ルールの側を実態に寄せる。

ここが「仮で決める」の回収地点になる。最初に決めた設定が外れていても問題にならないのは、この段階で直すことが最初から前提だからだ。


つまずきやすい点

  • 共通点が見えなくて焦る:1ヶ月でも見えないことはある。無理に出さず、範囲を広げてから見る。
  • 見つけた共通点を、その場でルールにする:「これは良さそう」と思っても、試す前にルールにしない。試さないと、本当に自分に効くかは分からない。
  • 一度に複数を試す:どれが効いたか分からなくなる。試すのは1回に1つ。採用する数に上限はないが、試していないものを混ぜない。
  • ルールを増やすことが目的になる:ルールの数は成果ではない。守れているルールが少しあれば足りる。多すぎるほうがむしろ危険になる。
  • 不採用を失敗と感じる:効かない仮説が出るのは正常になる。自分には効かないと分かったこと自体が収穫。
  • 強く落ち込んでいるときに分析する:自己否定が強く出ているときは、パターン分析より先に、専門家や身近な人に相談するほうを優先する。

自分の実例

自分のマイルールは、状況ごとに分かれている。崩れる条件が状況ごとに違うので、対処もそれぞれ別のものになる。

記録から出てきたものを、いくつか挙げる。

  • 休日は15時になったら、まだ動けてもネット回線を切る
  • 予定がない日は、14時からの楽器の練習を削らない
  • 残業が多くなった日は、普段60分やっている作業でも5分でいい
  • 料理は30分以内で終わるものにする

最後の「料理は30分以内」は、一見すると習慣と関係なく見える。ただ記録を見返すと、休日に手の込んだ料理を始めた日は、そのまま動画を流して夕方以降が崩れていた。自分の記録から出てきたからこそ、こういう一見関係なさそうなルールが残っている。

一般的な習慣術の本には、まず載っていない項目になる。ここが、自分のログから作ることの効き目だと思っている。


ここから先は、繰り返しになる

準備は最初の一度きりで、もう終わっている。ここから先は、この記事でやったことを繰り返していくことになる。

続くのは、進む速さが違う3つのリズムだ。

頻度やること
日次毎日その日の事実を記録する
週次週に1回1週間分を並べて、共通点を探す
月次月に1回複数週にまたがる傾向まで絞り込む

この3つが同時に回り続ける。仮に決めた設定も、この繰り返しの中で実際のデータに合わせて直っていく。作る・守る・戻す・更新するが、そのまま日々の運用として続く形になる。

回数を重ねるほど楽になる。仮決めが実データに裏打ちされたものに変わっていくからだ。

すぐに大きな成果は出ない。ただ、続けるほど自分専用のデータが溜まって、同じ条件で崩れにくくなっていく。焦らなくていい。